遺言書の作成

遺言書を作成する人が増加しています

近年、遺言書を残す人が急激に増えています。

その理由としてはさまざまなものが考えられますが、
一番の理由は  相続人同士の紛争を予防するためだと考えられます。
他にも、お世話になった人へ財産を残したいというお礼の気持ちから、という方もおられるでしょう。

相続を機に親族間で骨肉の争いが生じるということは珍しいことではありません。あらかじめ遺言書を作成して、争いの種を取り除いておくことをおすすめします。

 

遺言書を作成するメリット

①遺言書で紛争を予防

現実に相続が生じるまでは遺言書による相続対策をとっておられない方も多いです。その理由としては、「自分のところに限って相続で争いになることはない」との考えがあるためとも思われます。

しかし、われわれ弁護士は、多くの相続問題を見てきておりますが、はじめは相続争いなんか起こるはずがないと思っていたのに、相続を機に紛争が勃発したという事例はかなり多いのです。

現実に遺産分割の話をするときは、遺産の金額も明確に算出されます。多額の金額を目の前にすれば、気持ちが欲に傾くのは人である以上やむをえないところです。

相続紛争を軽視すべきではなく、「自分のところに限って相続で争いはないだろう」けれども、やはり遺言書による相続対策をとっておくべきだといえるでしょう。
備えあれば憂いなし、です。

遺産分割協議が頓挫すれば、遺産の相続自体が数年停滞することも、まれではないのです。
遺言書を作成して、そういった紛争を予防できるのであれば、作成しておくに越したことはないのです。


②遺言書で遺産分割協議を省略

遺産分割協議を成立させるのがどれだけ難しいのかということについては、遺産分割のページに記載したとおりです。

基本的には全員が合意しなければ遺産分割は前には進みませんので、たとえば、相続人が多数いる場合や、一人が協議に応じない場合、そもそも相続人と面識もない場合だってあります。
そういう場合に遺産分割協議を成り立たせるのは、専門家であっても非常に困難であり、予想以上に手間と時間がかかってしまうものなのです。

遺言書というのは、その手間を省略できるのです。この効用は非常に大きいと思います。


③遺言書で相続手続を簡略化

遺産分割というのは、協議書を作成して終わりではありません。

預金であれば、該当する銀行から遺産分割のための書類をもらい、必要事項を記入し、必要書類を集めて、提出するという、現実に分割内容を実現するための手続が残っています。これは相続人の誰かがやらなければならないものです。

必要書類を揃えるのは簡単なことではありません。また、相続人が日本中に散らばっている場合、その手続を誰が行うのでしょうか。一人の代表者が行う場合、必要な書類がさらに増えます。その代表者は、本当に適正公平な分割を行ってくれるのでしょうか

このように、仮に分割がうまくいったとしても、紛争の種は残るのです。

こんなときに役に立つのが、遺言執行者です。
遺言執行者とは、相続人を代表して遺言のとおりに相続手続きを行うことができる者で、遺言執行者を決めておけば、相続手続を容易に行うことができます。

たとえば,相続人以外に不動産を遺贈する場合,不動産の名義変更のためには,相続人全員の実印が必要となりますが(これを集めるのは非常に困難です)、遺言執行者がいれば相続人の実印を要せず名義変更が可能となります

また、遺言で「預金をある相続人に相続させる」としていても、実際は、金融機関は払い戻しや名義変更のために、結局相続人全員の同意を要求します。この場合でも遺言執行者さえ居れば、他の相続人の同意は不要になるわけです。

遺言執行者には通常、一切の財産を引き継ぐ相続人や、弁護士などの専門家が選ばれるケースが多いです。手続を公平迅速に行う観点からも、専門家を遺言執行者とする遺言書を残しておくことをおすすめします

遺言書の種類

遺言書については、他人による偽造変造のおそれがあることから、民法は遺言作成に際し、厳格な遺言方式を要求しています。

遺言の方式

遺言の方式として普通方式、特別方式があります。普通方式としては、自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言があり、特別方式は普通方式の遺言ができないような場合の遺言の方式です。

ア 自筆証書遺言

自筆証書遺言とは、全文、日附、氏名をすべて自分で書き、押印する方法で作成する遺言書のことです。簡単で費用もかかりませんが、すべて自筆でなければならない(2019年1月からは、自筆でない財産目録を作成できることになりました。)ので、ワープロによるものは無効となります。また、日付の記入がないものや、日付の特定ができない場合も無効となります。他にもいろいろなルールや制限があります。
遺言者の死亡後、家庭裁判所の「検認」という手続によって、開封し(封がされている場合)、中身を確認しなければなりません。

イ 公正証書遺言

公正証書遺言とは、公証人に、遺言の趣旨を口頭で述べ、それに基づいて公証人が作成する遺言書のことです。公正証書遺言は、字が書けない方でも作成することができ、公証人という法律の専門家が作成しますので、内容的に不備がありません。
また、遺言書の原本を公証人役場で保管するため、偽造や変造の恐れがありません
しかし、公正証書遺言の作成には2名以上の証人が必要になりますので、遺言の存在とその内容を、完全に秘密にすることはできません。公証人への手数料がかかります。

ウ 秘密証書遺言

秘密証書遺言とは、遺言書の本文はワープロや代筆によるものでも構いませんが、自らその証書に署名、押印して、それを封じて、証書に用いた印章で封印を押します。次いで、それを持って2名以上の証人と共に公証人役場へ行き、公証人に提出し、自己の遺言書である旨並びに遺言書の筆者の氏名及び住所を申述し、さらに公証人がその証書の提出された日付及び遺言者の申述を封紙に記載した後、遺言者本人、証人、公証人が署名押印して完成します。この方式は遺言の内容を秘密にできるという点、公証人の関与によって遺言書の偽造・変造のおそれを少なくする点にメリットがあります。

 

遺言無効訴訟

上記のとおり、遺言書には決まった書き方、ルールがあります。
そのルールの守られていない遺言書は「無効」とされるおそれもあるのです。その意味でも、遺言書の内容は一度専門家に見てもらうべきでしょう。

特に自筆証書遺言(手書きで本人が作成したもの)では、それは偽造ではないかとか、騙されて作らされたものではないか等、遺言が本当に本人の真意で作成されたものかについて疑義がある場合、その有効性が裁判で争われることもあります。手書きである分、偽造される恐れが高いのも事実です。

万全を期すならば、遺言は公正証書として残しておくべきでしょう。

おすすめの遺言書

以上をまとめて、万全を期すならば、
・今のうちに遺言書を残すことで相続対策をとっておく
・遺言書に記載する内容は法律の専門家のチェックをもらい有効性を担保する
・遺言書は公正証書として残すことで偽造を防ぐ
・専門家を遺言執行者とすることで、遺言に基づく相続手続きを簡易化する


これら条件を満たした遺言書が、最も相続対策として効果を発揮する遺言書なのではないでしょうか。このような遺言書をご希望の方は、当事務所までご相談ください。

特に遺言書を残しておくべき人

① 相続人がいない人
相続人がいない、というのはどういう場合でしょう。
未婚で子もおらず、両親、兄弟ともにすでに他界している場合、相続人がいないケースにあたります。この場合、残った財産はどうなると思いますか?
実は,原則として国に帰属することになります。
わが国家のためになるのならそれでよい!というのであればよいですが、やはり、なんか腑に落ちませんよね。
こういうケースでは、是非とも遺言書を残すべきです。
遺言書で財産を遺贈することで、国には帰属せず、お世話になった方などに財産を譲ることができるわけです。
なお、財産を渡す方には、遺言書の残しておいたことをきちんと伝えてきましょう。でなければ、遺言書の存在が知られず放置される恐れがありますから。

② 相続人が配偶者と自分の兄弟姉妹だけ
これは,結婚をしたが子がおらず、両親がすでに他界し、自分の兄弟姉妹がいる場合です。
この場合,是非とも自分の夫・妻に全財産を相続させる遺言書を残すべきです。全財産を相続させる遺言書の問題点は遺留分ですが、兄弟姉妹には遺留分はありませんから、トラブルにもなりません。
ぜひとも遺言書を残すべきケースの1つといえます。


 

我々が遺言書の作成をお手伝いいたします

当事務所では、遺言書の原案作成だけでなく、その公正証書化も引き受けております。熊本の弁護士が、「有効な」遺言書となるようにお手伝いいたします。

まずはコスモス事務所(096-351-8585)までご連絡ください。
「遺言書について相談したい」とお伝えいただければスムーズです。

 ⇒ご相談方法についてはコチラ

 

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