高齢者の財産管理(成年後見)

高齢者の財産管理の必要性

振り込め詐欺の被害者の8割は65歳以上の高齢者と言われています。このように、高齢者は「狙われる存在」であることを自覚しなければなりません。
特に認知症等により、判断能力が低下している場合、つい浪費をしてしまったり悪徳商法と契約したりと、自身に不利益な契約を行う恐れがあります。このような契約については無効としたり、あるいは取消しを可能にして、当人の利益を守る必要があります。
 本人の代理で契約をしたり、本人の契約に同意をしたりする人を選任して本人の支援をする制度が「後見制度」です。
 後見制度は、大きく分けて、
①判断能力があるうちに
本人が公正証書によって後見人を選定しておく「任意後見」

②判断能力が低下した後に裁判所が後見人等を選定する「法定後見」

に分かれ、法定後見はさらに「後見」、「保佐」、「補助」の3類型に分かれます。以下では、法定後見について説明します。

 

成年後見とは

「後見」とは、認知症により意思能力を完全に失った場合に、成年後見人(以下では単に「後見人」といいます)をつけて、本人の代わりに財産管理を任せる制度です。後見人は、本人の財産に関する全ての法律行為について代理権を得ます。
 成年後見人をつけるには、本人又は配偶者、四親等内の親族等が家庭裁判所に申立てる必要があります。
この点は後見・保佐・補助とも同様です。家裁は、本人の精神鑑定等の必要な調査をして、後見を開始すべきかどうかの判断をし、後見開始が妥当であると判断すれば後見人を選任することになります。
後見人には、通常は、申立時に候補者として推薦された人(大抵は身内の方です)が選任されますが、候補者が後見人にふさわしくないと裁判所が判断した場合には、第三者の専門家(弁護士や司法書士等)が後見人に選任されることもあります。

後見人は、選任後、本人の財産目録を作成し、通帳等を預かり、その財産管理全般を行います。また、裁判所への定期的な報告が義務付けられます。
「保佐」は、認知症のために意思能力(判断能力)が相当に低下している場合に、本人が契約を行なうにあたっての同意や取消をする「保佐人」を選任する制度です。
 保佐人が選任されると、借金や不動産の売買などの行為については保佐人が同意権をもつようになり、保佐人の同意を得ずに本人が勝手にこれらの行為を行なった場合には、保佐人はその契約を取り消すことができます。また、複雑な契約等については、保佐人の判断で行なう方がスムーズなので、家裁の決定で代理権を与えることもできます。
 「補助」は、意思能力の低下の程度が後見・保佐の場合よりさらに軽いときの類型です。補助人には、あらかじめ家裁が決定した事項についての同意権・取消権が与えられます。一定の代理権を与えることもできます。

ご身内にご高齢の方がおられる方、ご心配の方は、ぜひご相談下さい。熊本の弁護士が対応いたします。

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