自己破産

自己破産をお考えの方へ

自己破産制度の目的は「債務者の経済的再生」であり、「人生の再スタートを切る」という意味があります。借金問題解決の一つの選択肢として、重要な制度なのです。イメージに左右されることなく、制度の内容やメリットデメリットをきちんと理解すれば、「再スタートのために破産手続を利用すること」も、あってよいのだとわかっていただけると思います。

 

どのような方が利用するか

基本的には,任意整理や民事再生では返済が困難な方が検討する方法です。
ただ、破産と聞くと、何千万という負債のある人が利用するイメージを持つ方が多いですが、そんなことはありません。

個人の破産では負債額は100万円~300万円程度で利用されるケースが多いです。

・生活費が不足してカードローンで5万円借りたことから始まり、積み重なっていつの間にか100万円まで膨れ上がっていた方

・携帯電話代金やクレジットカードの利用代金の支払が滞り、遅延損害金が積み重なって100万円以上になってしまった方

・学生の頃に奨学金を借りたが返済ができなくなった方

・住宅ローンの連帯保証人となったが、主債務者が返済できず金融機関から請求が来るようになった方

・また,生活保護の方の場合、生活保護費を返済にあてることはできないため、100万円以下の負債でも破産を利用することも多いです。

 

 

自己破産のメリット・デメリット

自己破産のメリット

自己破産のメリットは最終的に「借金が無くなること」に尽きます。破産制度は、プラスの財産とマイナスの借金を清算して、残った債務を帳消しにする制度です。

自己破産のデメリット

自己破産のデメリットとしてよく挙げられるのは、財産を失う、破産の期間中は一部の職業には就けない、新たな借入れ・クレジットカードの利用ができなくなるといったことがよく言われています。
ただ、このデメリットは実際の運用と異なる誤解も多いところです。
実際には、財産を失うとはいえ、価値があるものだけです。

自己破産すると所有する財産はどうなるか

具体的には、処分される財産は、土地や建物等の不動産や、最近購入した新車などが対象となるだけであり、車も年式が古いものであればそのまま使えますし、家財道具(テレビ等の家具・家電)も基本的には破産しても失われません。
よくイメージとして持たれるように、家財道具に「差押」の札を次々と張られるというようなことは現在ではありません。つまり、破産手続により財産を回収するため裁判所の職員が家に押しかけるということは、ありません。

自己破産による職業制限

破産・免責期間中は一定の職業に就けないこととされています。
職業制限によって制限される職種は、取締役や税理士、保険募集人、警備員等です。
ただ、公務員の欠格事由にはあたりません。
また、免責となればこの制限は解除されますので、永久にその仕事に就けないということにはなりません。実際には破産・免責を申立てて手続がすべて終結する数ヶ月間で済みます。

よく誤解されていること

また、一部の方が誤解されているような、「戸籍に載る」「保険に入れなくなる」といった心配はありません。
なお、本籍地のある市町村では、成年後見や破産に関する「身分証明書」というものを管理しており、破産手続期間中はこの記録に破産手続中であることが記されますが、第三者が見ることはできませんし、破産・免責手続が全て終了すれば、記録は抹消され、過去に破産した事実は残りません。
自己破産をしても普通に生活していくことができますし、ご家族についても、保証人になってもらっていなければ何の迷惑もかかりません(保証人になっている方については保証人としての責任を負うことになります)。普通に仕事をして給料を受取ることも当然できます。

自己破産を他人に知られるかどうか

 あと、よくご心配されるのは、「家族や友人、第三者に破産の事実を知られるか」という点です。実際には、破産手続を利用しても、弁護士に依頼している場合には、依頼した弁護士や裁判所から、破産者のご自宅に破産を示唆するような書類を送付することはありません。
 とはいえ、第三者が破産を知る機会がまったくないかと問われると、「知られることはほとんどありませんが、その機会はゼロではありません。」という答えになります。
 具体的には、破産手続を行う場合、配偶者(妻や夫)についての所得証明書や資産証明書といった書類が必要となりますので、ご家族の協力が必要となるケースもございます。また、勤務先から「退職金計算書」等の書類を取得する必要もあります。このように、破産手続のため必要な資料を収集するにあたり、家族や勤務先の協力が必要となる場合があります。このときに、相手に気づかれずに書類を取得できればよいですが、状況によっては破産の事実を伝えなければならなかったり、破産手続に詳しい方であれば、その書類を必要とする状況が破産手続であると勘付く方もおられないとも限りません。
 このように、絶対に破産を知られないかというと、保証はできないということです。

官報への掲載

 また、自己破産をすると、破産者の氏名や破産の事実等が官報に掲載されます。官報というのは国が発行する冊子で、法律の改正等が掲載されており、基本的に見る人はいないので、さほど心配する必要はないことが多いです。ただ、信用情報機関はこれを確認して事故情報として登録(いわゆるブラックリストへの登録)しますので、自己破産後は5年から10年、金融機関や貸金業者からの借入れやクレジットカードの利用ができなくなります。

自己破産のデメリットを整理すると

 これらを踏まえて、破産手続の実際のデメリットを挙げるとすると、自分名義の不動産を失うこと、年式が新しい新車を失うこと、他に保証人がいる場合にはその保証人の負債は残ることになるので、迷惑をかけることになること、第三者に破産を知られないとは限らないこと、5年~10年程度は金融機関や貸金業者からの借入れやクレジットカードの利用ができなくなること、破産後7年間は破産手続の利用ができないこと
このあたりでしょうか。

 

破産手続きを利用するに当たり知っておいていただきたいこと

・破産手続を利用するには、破産に至る事情や、財産状況を裁判所に正確に伝えるために、多種多用な書類を準備する必要があります。そして、基本的には破産者ご自身で資料の収集を行う必要がありますので、ある程度覚悟と労力が必要となります。

・準備する資料には過去数か月分の家計収支表もあり、破産を裁判所に申し立てるまでには数ヶ月かかることもまれではありません。

・破産を裁判所に申し立ててから、現実に債務が免責されるまでには、少なくとも3ヶ月~1年はかかります。申立てのための準備期間もありますから、弁護士へ自己破産を依頼する時点から考えると、相談をしてから破産が完了するまでは、スムーズにいっても少なくとも半年はかかるものだということをご理解ください。財産が多いケースでは1年以上かかることもあります。

自己破産のための費用は、①弁護士費用と、②裁判所に納める費用の2つが必要となります。

・当然ながら破産手続をご依頼される場合、弁護士費用が必要となりますが、これは法テラスによる立替制度を利用できますので、法テラスの利用基準に適合する方であれば、一旦費用は法テラスが立替えて、その費用を分割で返済するというやり方ができます。

・とはいえ、裁判所に収める費用は、原則として法テラスによる立替制度は利用できませんので、ご自身で準備していただくことになります。弁護士に破産を依頼をすれば返済を一時的にストップできますので、その間に貯蓄するか、ご親族の方から支援をしていただくことになります。

裁判所に納める費用の額は、破産者の状況によりその金額が異なり、最低でも1万数千円、多い方で23万円程度(個人の場合。法人の場合はさらに増額)必要となります。その区別の方法は、財産の有無です。預貯金に余裕のある方、不動産をお持ちの方(相続財産や共有も含む)、退職金見込み額が多額の方、生命保険を解約したと仮定した場合の返戻金が多額になる方、破産により債務を免責させてよいか裁判所による調査が必要な方、このような方については、裁判所に対して23万円を払わなければ破産手続ができません。

・裁判所へ収める費用については、破産の申立てをしてみないと分からないケースも多く、申立てをしてみて、そこで23万円の費用が必要となった、という場合もあります。この場合は、数ヶ月間積み立てをするか、親族から借り入れるなどしていただくことになります。

・債権者に銀行がある場合,その銀行の口座は凍結されます。同様に,カード会社が債権者の場合にも,クレジットカードの利用ができなくなりますので,それまでクレジットカードによって支払をしてきたものも,支払方法を変更する必要が出てきます。

・破産によっても免れることのできない債務もあります。養育費や損害賠償債務などです。

・ギャンブルや高額の贅沢品の購入、返せる見込みがないのに借入れをすること、親族などへの優先的な返済などの事実があると、破産手続きをしても債務の免責を受けられない場合があります。このような生活にならないよう十分に注意してください。

 

 

ご相談はコスモス法律事務所へ

 債務問題については、状況に応じて任意整理などの複数の選択肢をご提示し、それぞれのメリットデメリットをきちんとご説明した上で、方針をお決めいたします。
 まずは当事務所まで(096-351-8585)までご連絡ください。熊本の弁護士が対応いたします。お気兼ねなく何なりとご質問をしていただければと思います(⇒ご相談方法はコチラ)。
 法テラスを利用すれば、弁護士費用は立替え可能で分割払いをすることができます。

 

自己破産とは

自己破産とは、簡単に言うと、「裁判所で」「債権者と債権額を確定し」「財産があったらまずはそれをお金に換えて債権者に配当し」「残った借金は免除してもらう」というものです。

財産を配当するまでが「破産」、残った借金を免除する部分が「免責」という手続であり、破産と免責でワンセットになります。

財産がない方は、破産手続については形式的に済み、実質的には免責だけを問題にしていくことになります。
財産がある場合や、免責が認められないことがある場合(浪費によって借金を作った場合等)には、「破産管財人」が裁判所によって任命され、財産の調査や管理、借金を作った事情の調査が行なわれます。
破産・免責によって、基本的には、全ての借金が無くなることになります(滞納している税金など、免除されない例外もあります)。
※通常は、自分で破産を申立てるので「自己破産」とも言います。
例外的に、債権者が、「もう破産して清算して下さい」という趣旨で破産を申立てることがあります。これを「債権者破産」と言います。

 

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