相 続

相続が起こったら

通夜、葬儀を終え、ひと段落すると、遺産相続について考えることとなります。相続が発生した場合の相続人の対応の仕方としてはさまざまなものがありますが、現実的なものを整理すると次のようになるでしょう。

①遺言書がある場合
②相続放棄
③遺産分割協議
 なお、相続人がお一人の場合には遺産分割協議は不要です。

①遺言書がある場合

遺言書がある場合、基本的に遺産の分割は遺言書に従って行うことになります。ですから、相続人としては、まずは遺言書がないかを確認することになります。

そこでまず問題となるのは、「遺言書がどこに保管されているか」です。遺言書を作成しても、ご親族にはそのことを披露していない方もおられます。後から遺言書が見つかってしまうと、非常に面倒なことになりますから、遺言書を作ったという話がなくても、念のため探す必要があるでしょう。

おおまかにいうと、遺言書は、ご本人が書かれた遺言書と、公証役場に保管されている遺言書に分けられます。ご本人が書かれたものについては、自宅か銀行の貸金庫に保管されているケースが多いです。まずはご自宅の遺品整理の際に探索されるとよいでしょう。

次に、公証役場に保管されているものについてですが、実は簡単に検索することができます。相続人がお近くの公証役場に出向き、被相続人の死亡の事実・自分がその相続人であることを示すことで、全国の公証役場で遺言書が保管されていないかを検索することができます。まずはお近くの公証役場に問い合わせて、遺言書の検索をしたい旨お伝えし、必要な書類についてご確認下さい(通常は亡くなった方の戸籍やご自身の戸籍が必要となります)。ちなみに熊本の公証役場については、コチラ(熊本の公証役場)をご覧下さい。

このようにして、遺言書を探索し、遺言書が発見された場合には、その内容に従って遺産を分けることになります。なお、自筆で封印されているものは開封せずに、まずは家庭裁判所での検認を受けるようにしてください。

遺言書が存在しない場合には、相続放棄または遺産分割協議を考えることになります。

②相続放棄

相続というのは、プラスの財産だけではなく、マイナスの財産、すなわち借金もすべて相続することを意味します。ですから、遺産の中で明らかに借金の方が多いという場合には、プラスの財産も含めて「相続をしない」という選択をすることになります。
これが相続放棄です。

すなわち相続放棄とは、遺産の全てを放棄し、一切の財産を相続しないという方法です。
相続を放棄するには、相続開始を知ったときから3か月以内に家庭裁判所に相続放棄申請書を提出しなければなりません。提出する先は、亡くなった方の最後の住所地を管轄する家庭裁判所になりますのでご注意下さい。この申述書が家庭裁判所で正式に受理されると相続放棄の効力が発生します。

相続放棄の効力が発生すると、その放棄をした相続人は最初から相続人ではなかったとみなされます。第1順位の相続人である子が相続を放棄した場合は、第2順位の直系尊属(父母)または第3順位の兄弟姉妹が代わって相続人となります。したがって、場合によっては、それらの者全員が相続放棄をする必要もあります。

相続放棄をご検討の方は、早めに当事務所へご相談いただければと思います。

③遺産分割協議

相続人が複数おり、遺産の中に借金もないという場合には、遺産の分け方について相続人同士で協議する必要があります。どの財産は誰が相続するのかについて協議を行い、遺産分割協議書を作成します。
そして、この遺産分割協議書に従って、遺産の分割手続を行うことになります。

しかし、相続の手続はスムーズにいかないことが多いのが実情です。

 

遺産相続の場面では紛争が絶えない

相続により財産関係が大きく変動するため、相続の場面では、相続人同士の利害は大きく対立します。そのため、この分野では紛争が絶えることがありません。

遺産相続は手続そのものも複雑です。ですから、争いがある場合はもちろん、争いがなくても、相続の手続がスムーズにいくことはまれです。相続を経験されたことのある方であればお分かりになるかと思いますが、相続を無事終えるには、かなりの体力と労力を要するのです。

当事者だけでは問題が解決できない場合、弁護士の出番となります。

 

遺産分割手続

遺産相続のためには、相続人の間で、遺産をどう分けるか、だれがどの財産をどれだけ取得するかを協議して決める必要があります(遺産分割協議)。なお、相続人が一人しかいない場合や、遺言によって遺産を分ける割合が決められている場合は、遺産分割をする必要はありません。

遺産を受取る割合は、一応は民法で定められています(法定相続分)。
例えば、配偶者と子が相続人になる場合は、配偶者と子が遺産の2分の1ずつを受取ることになります(子が複数いる、つまり兄弟がいる場合は、子の取り分を均等に分けることになります)。

もちろん、話し合いによって、分ける割合は自由に決めることができます。
遺産分割の内容が決まったら、「遺産分割協議書」を作成することになります。

作成された遺産分割協議書を用いて、不動産の相続登記や、預貯金の解約(名義変更)を行うことになります。

遺産分割協議がスムーズにいくとは限りませんし、話し合いがまとまっても書類(協議書)に欠陥があっては困りますから、早い段階から専門家である弁護士に相談されることをおすすめします。書類の欠陥が原因で、協議はまとまったのに分割手続ができない、という事例もあるくらいです。遺産分割協議書は必ず専門家に確認してもらうようにしましょう。

遺産分割協議がまとまらない場合は、家庭裁判所の調停・審判で決めることになります。その際に、特別受益(生前にもらっていた財産の取扱い)や寄与分(生前に遺産を維持・増加させるために貢献したことの取扱い)が問題となります。
 →詳しくは「遺産分割について」をご覧下さい

 

遺留分

原則として、遺言者は、遺言によって自由に遺産配分の内容を決めることができます。

しかし、たとえば「全て長男に相続させる」という遺言であった場合、配偶者や兄弟はどうなってしまうのでしょうか。この場合でも、配偶者などは、本来の法定相続分の2分の1については、「遺留分」として、受取る権利を主張できます(直系尊属(親、祖父母)のみが相続人である場合は3分の1)。

この権利を主張することを「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」と言います。具体的には、内容証明郵便によって、遺留分減殺請求権を行使することを通知したり、遺留分減殺請求の調停や訴訟を起こすことになります。

遺留分についてはコチラもご覧ください 

 

遺言書やそのほかの相続の手続について

他にも、当事務所では、遺言書の作成や遺言執行者の就任、相続放棄などの対応も行っております。

特に、紛争を予防する観点からは、相続に関して生前に十分熟慮し、遺言書を残しておくという対応が賢明ではないかと感じています。
遺言書を作成するメリットは他にもたくさんあります。詳しくは遺言書の作成のページをご覧下さい。

また、遺産分割について争いがない場合でも、預金や不動産を現実に分割するのはかなり苦労します。戸籍などの大量の資料を要することも多く、各金融機関ごとに手続が異なる場合があるからです。こういった場合には、分割手続の代行だけでも専門家に依頼する方が簡単です。

まずはコスモス法律事務所にご相談下さい

上記のように、遺産相続については複雑な法律問題点がありますし、親族間の利害関係や感情のせめぎ合いという心理的な問題もあります。加えて、相続の手続自体が難解で、慣れていないと非常に困難が伴うことが多いです。

ですから、相続が起こった場合、早い段階から弁護士にご相談されることをお勧めします。

ご相談の際は、096-351-8585までご連絡下さい。熊本の弁護士が対応いたします。「相続の相談です」とお伝えいただければスムーズです。

 ⇒ご相談の方法はコチラ

 

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